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Kaido Ocean Children 158

「海童」は、ロックで氷が溶けたくらいのを、「芋」を感じながらじわじわ楽しむのが好きです。
かねよ食堂 http://art-onthebeach.com

かねよ食堂 Jonさん

 

 「三浦半島の走水海岸に、いい店があるよ」。10年ほど前のある夜、ライブがあるからとその店を目指した。静まり返った漁師小屋の裏道を奥へと進むと、流木を集めて作ったような木造の家が現れ、温い灯りがこぼれ、人々の陽気なざわめきで溢れていた。まるで結界に守られているかのよう、浮き世を忘れ、自由と安息感に身を置く事ができる空間が「かねよ食堂」だった。

 店主、Jonさんこと、金澤等さんは、この場所で漁師の家に育ち、海や山を遊び場にして大きくなった。16歳でサーフィンに出会い、「自然の中で遊ぶことが好きな自分にとって、これ以上のものはない!」と夢中に。当時はバスと電車とフェリーを乗り継いで千葉へ、夜は野宿、「ボードケースに入って眠りました」と笑う。社会に出てからは、お金を貯めてカリフォルニアやメキシコに10年間、毎年通った。いい波に乗り、さまざまな風景や人、ものに出会った経験が、Jonさんの今に至る「信念」を育んだ。

 かねよ食堂は、もともとは家族が営む地元の海の家だった。夏だけの営業で、そのほかは漁業が中心。社会環境や時代の変化を感じる中でこの環境と暮らしを守りたいという思いから、新しい形の海の家の発想へ。このロケーションと新鮮な魚があるのだから、もっと素敵な場所になるはず。海外で得た豊かな感性をエッセンスに、ここだけの特別な空間をつくる。かねよ食堂の挑戦は、少しずつ人に知られ、多くの人々が幸せを感じる店となった。

 2年前、リーニューアルを経て、13年目を迎えた。店の事で忙しい日々だが、実は心の中では優先順位はサーフィンにある。店を始めた頃は、「波がきたから休みます」と店を閉めたけれど、今は「波があるから行ってきます」と任せられるスタッフがいる。ある部分「成功」かもしれない、けれどまだまだ新しい可能性を探りたいと言う。その穏やかな瞳が遠くに見るヴィジョンが、また形となる日が楽しみだ。