暖かな春の日差しを感じる季節になってきました。3月は、昔から「別れの季節」といわれます。学校を卒業して地元を離れる人たち、異動で遠くの地へ赴く人たち、現職を離れ、新たな新天地への階段を上る人たちなど、人生のターニングポイントとなる時期でもあります。お互いに「夢」に向かって突き進むために旅立ちは、ひとときの淋しさが募ります。私も何度か「見送る側」と「見送られる側」を経験していますが、いずれも、再会した時に成長した自分自身を見せ合うことを約束し、事前に用意していた「応援」という名の贈り物をそっと取り出し、手渡したのを思い出します。
今回の蔵だよりでは、4月以降に新たな人生を歩む際の贈り物にぴったりの鹿児島県産のフルーツを使ったお酒をご紹介いたします。
鹿児島県産の「ぽんかん」と「ぼんたん」
突然ですが、この木に実っている果物の名前をご存じでしょうか。いずれも柑橘系で、どちらかが「ぽんかん」で、もう片方が「ぼんたん」です。
正解は、左側が「ぼんたん」で、右側が「ぽんかん」です。「ぼんたん」は、鹿児島県出身者には、子供の頃から食卓に並んでいた馴染みのある果物かもしれません。その名称には様々な呼び名があり、人によって呼び方が違う場合もあります。「文旦(ぶんたん)」と呼んだり、「ボンタン」と呼んだり、「ざぼん」と呼んだり、二つ名ならぬ三つ名を持つ珍しい果物です。「ザンボア」や「ジャボン」とも呼ばれることもあるそうです。また、当蔵のあるいちき串木野市では、“さわやかな文旦”というイメージから、「サワーポメロ」と命名され、発祥の地として知られています。冬の終わりからは春先にかけて出荷され、大きな果実とスポンジ状の厚い中皮が特徴で、独特の甘みがあります。
そして、右側の「ぽんかん」は、今回ご紹介する伝兵衛蔵のリキュールに使われる果物です。重さは120~150グラムで、完熟すると橙色となり、独特の甘みと酸味が見事なバランスで組み合わさり、口の中に広がります。鹿児島県は栽培面積が全国2位(平成27年)で、伝兵衛蔵のあるいちき串木野市でも栽培されています。11月から12月にかけて収穫したものを貯蔵し、熟れるのを待ち、1月から2月にかけて出荷されます。
香り高い麦焼酎が新鮮なぽんかんの魅力を引き出した濃厚な甘み
いちき串木野産のぽんかんを100%使用し、麦焼酎で漬け込んで造りました。無添加・無香料・無着色で素材の味がそのまま楽しめるリキュールです。そのまま飲んだり、冷蔵庫で冷やして、大きな氷塊をひとつ入れたグラスに注いでオン・ザ・ロックにしたり、お好みで愉しむことができます。
伝兵衛蔵では、今回ご紹介した「ぽんかん酒」以外にも数種類のリキュールをご用意しております。4月の新たな出発のお祝いに、ご友人、ご親族への贈り物、または自分へのご褒美に南国のフルーツの香り広がるリキュールはいかがでしょうか。遠く離れていても、気軽にオンラインで乾杯できる機会も増えそうです。フレッシュな気持ちで前進していきましょう。