梅雨が明けたらいよいよ本格的な夏の到来。冷たいアルコールを喉にグッと通して、日頃の疲れを吹っ飛ばしたい気持ちになる季節ですね。特にビールは”一杯目”に飲みたい代表格。近年は、国内でもクラフトビール市場の伸長が顕著で、米クラフトビール大手、ブルックリン・ブルワリーの創業者である、スティーブ・ヒンディ氏は、「米国では30年前はほぼ市場に存在していなかったクラフトビールが、現在は15%程度を占めており、日本でも同様のことが起こるだろう」とメディア取材で答えています。
ビールといちき串木野市の繋がり
さて、濵田酒造本社のある鹿児島県いちき串木野市とビール。一見無関係のようですが、実は、ある人物を通してその関係性が浮き彫りになります。その名は「村橋久成(むらはしひさなり)」。日本初のビール工場(サッポロビールの前身)の稼働に大きく貢献したことで有名ですが、この人物が薩摩藩第一次英国留学生の一人として、いちき串木野市の羽島からロンドンに旅立ったことはご存知ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
(村橋久成がイギリスへ旅立った羽島にある薩摩藩英国留学生記念館)
薩州濵田屋伝兵衛のこだわりクラフトビール
今回の蔵便り6月号でご紹介するのは、伝兵衛蔵の夏の風物詩、「伝兵衛ビール」です。伝兵衛ビールを造って今年で10年目という石神さんにお話を伺ってみました。
(伝兵衛ビールの製造場所)
■伝兵衛ビールの製造工程について教えてください。
石神:以下のような工程を経て造ります。
① 糖化:粉砕した麦芽を温水と混ぜ、麦芽の酵素ででんぷんが糖質に分解されます。
② 濾過:穀皮を濾過材として濾過します。
③ 麦汁煮沸:煮沸釜に麦汁を移し、ホップを投入。ビールの苦みと香りが抽出されます。
④ 冷却:ワールプールタンクを使って凝集物を取り除き、酵母が働きやすい温度へ調整します。
⑤ 発酵:酵母が糖を発酵させ、アルコール・炭酸ガスに変化します(熟成期間は約6日)
⑥ 完成:クラフトビールのできあがり
■製造工程の中で特に気を遣うのはどんなところでしょうか。
石神:濾過と冷却の工程ですね。濾過は最も時間がかかる工程で強制的に濾過すると、ビールの泡持ちや香味にも影響する可能性があるので気をつけています。また、冷却時は、酵母が活動しやすい温度にする必要があり、この作業は、焼酎造りで培った経験が生きています。
■伝兵衛ビールシリーズのうち、季節限定の「伝兵衛黒ビール」は、石神さんがレシピ開発から携わられたとのことですが手応えはいかがでしたでしょうか。
石神:開発部門と協力して、酵母や麦芽の配合を調整し、何回も何回もテストを重ね、納得のいく香味になるまでこだわりました。黒ビールらしい、コーヒーやカラメル、芳ばしい香りの特徴があり、飲みやすく何杯でも飲める黒ビールができたと思います。
■最後に今年も個性的な伝兵衛ビールを楽しみにしている人たちへひとことお願いいたします。
石神:第一麦汁のみでつくられたビールです。爽やかな風味の中にも、しっかりとしたコクと麦のうまみを感じることができます。「伝兵衛ビール」「伝兵衛黒ビール」「伝兵衛完熟梅発泡酒」。いずれも個性的でおすすめです。こだわりのクラフトビールをぜひ一度味わって欲しいです。
伝兵衛蔵では、7月からクラフトビール祭りを実施いたします。創業150周年を迎える本格焼酎の蔵元が造るクラフトビールを片手に、爽快な夏を過ごしてはいかがでしょうか。
※伝兵衛蔵のビール商品は現在販売を終了しております。
※伝兵衛蔵クラフトビール祭りについてはコチラ