地球にやさしいLNGで変わった傳蔵院蔵を支える焼酎造りの熱源




昔から焼酎造りには熱源が必要でした。主に原料となる芋を蒸す工程、麹の原料となる米を蒸す作業、そして出来上がったもろみを蒸留して焼酎を作り上げる工程に大量の蒸気が必要でした。
ここ傳藏院蔵では、その熱源として以前は重油(A重油)を使用していました。
傳藏院蔵では鹿児島県内各地から届けられた芋を選別し、蒸す作業から焼酎作りがスタートします。芋を蒸すことでデンプンを糖に変えるのですが、芋焼酎造りの忙しい時期には9台ある巨大な蒸し釜がフル稼働。そのまま蒸し芋として食べられる程に熱が入り、甘い香りが広がります。
その芋を蒸すための熱源が2016年から重油からLNG(液化天然ガス)へと変わりました。
蔵の駐車場のあたりに「地球にやさしいエネルギー」と書かれた白いタンクタワーがそびえていますが、その中にLNGは貯蔵されています。
重油と比較するとLNGは1.4倍燃えやすく、さらにCO2の排出量が約30%減少するうえに、NOx(窒素酸化物)が50%減少、Sox(硫黄酸化物)の排出量がゼロになるなど、地球環境にも優しい取り組みにもなっているのです。
傳藏院蔵ではこのLNGを9台のガスボイラーを使って蒸気を作り出し、蔵の中の必要な工程へと送り出しているのです。

原料の芋をすべて無駄にしない。焼酎造りを支える循環型社会のスタイル

もう一つのリサイクルやエネルギーにまつわる取り組みとして注目してほしいのは、傳蔵院蔵の隣にある、パイプラインで傳蔵院蔵とつながる「西薩クリーンサンセット事業協同組合」との連携です。
以前は海洋投棄されていた焼酎蒸留後に残った焼酎もろみを再利用・活用するための施設です。いちき串木野市と日置市の焼酎蔵から排出される使用後のもろみを処理するプラントとして作られました。
焼酎蔵から届いたもろみは90%以上が水分のため、まずは絞ってこの水分と固形分を分離します。
分離された固形分は、もとはといえばサツマイモを蒸して酵母の働きで発酵させたもの。アミノ酸などが含まれ、栄養素もとても豊富です。こちらをさらに乾燥させたものは家畜の飼料として利用されています。
液体のほうはメタン発酵を行うことで、ガスと水へとさらに分けられます。このメタンガスはボイラーの燃料として活用され、蒸気を作りだしています。この蒸気の余剰分はパイプラインを通って傳蔵院蔵に送られ、焼酎造りに必要な蒸気として利用されているのです。その量は全体の蒸気使用量のなんと30%も占めています。
さらにメタンガスが分離された水は排水処理を行い、汚泥と水に分けられます。汚泥は絞って畑などの肥料になります。
焼酎造りでの廃棄物を無駄にすることなく、蒸気に変え、また、次の焼酎造りのエネルギーとして活用する。そのことで、化石燃料の使用量を削減し、温室効果ガス排出抑制へと繋げる。
このように原料を無駄にすることなく、芋から焼酎粕まで原料を無駄にしない循環の仕組みを構築することで地球にやさしい焼酎造りへと進化しているのです。

省エネルギーも追求する環境にやさしい焼酎造りへ

サツマイモから生まれた焼酎造りにともなう循環のサイクルは、平成25年度には「新エネ大賞」を受賞するなど、広く注目されています。
さらに傳蔵院蔵には多くの建物が並んでいますが、屋上には太陽光パネルが設置されています。また、照明などもLED照明へと変更されています。焼酎造りからその管理をする建物まで地球に負担を掛けないようにエネルギーの削減に日々取り組んでいます。
Information
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