1865年4月、東シナ海に面した薩摩半島羽島浦(現鹿児島県いちき串木野市羽島)に寄港した一隻の洋式機帆船、オースタライエン号。そこに自らの生命を賭けて乗り込んだ19名の若者たちがいました。それは、英国留学、視察密航の旅を目論んだ若き薩摩藩士たち。その旅路は、そのまま日本の近代化を進める大きな航跡となりました。2014年7月、いちき串木野市に彼らの功績を後世に伝えるために『薩摩藩英国留学生記念館』が開館しました。
薩摩スチューデントの意義とその後の活躍。
1862年9月の生麦事件を発端に起きた薩英戦争絵巻から始まる1階展示は「なぜ薩摩藩は留学生たちを英国に密航・留学させたのか?」を分かりやすく説明した導入展示です。彼ら薩摩スチューデントの渡英の経緯やその意義、エピソードなどを紹介するオリジナル映像も2本交互に上映されています。彼らの歴史を理解したら2階へ。出発後ロンドンに至るまでの航跡や西欧見聞の日々、帰国してからの功績を様々な資料、模型、映像で紹介。特別スペースでは、150周年記念の企画展も開催中です。
写真左/国際交流をテーマにオリエンテーションや閲覧も可能な西洋書斎風のライブラリー。講座などのイベントや雨天時のランチルームとしても活用できます。写真右/薩摩スチューデントたちが羽島の地に残した、さまざまな交流の証をシンボル展示。彼らの人間性や葛藤などを浮彫りにします。
写真左/2階ロビーは、留学生たちの船旅をイメージ。彼らの船旅ルートを示す地球儀は島津斉彬所蔵の地球儀をモチーフに再現されたものです。写真右/帰国してからの留学生の功績を様々な資料、模型、映像で紹介。「鹿児島紡績所」や「開拓使麦酒醸造所」の模型は本邦初公開です。
写真左/薩摩藩英国留学生渡欧150周年の今年、4月17日は留学生一行が羽島を旅立ってからちょうど150年目の日。記念イベントには濵田酒造グループも出店しました。写真右/彼らが旅立った東シナ海を臨む羽島港に建てられた記念碑、日本が世界に向けて旅立った貴重な第一歩。
入場無料の1階のエントランスには、ライブラリーのほかにも、薩摩藩英国留学生記念館のオリジナルグッズや羽島、いちき串木野市に関連する様々な商品、薩摩の伝統的な工芸品などが揃うミュージアムショップ。静かで落ち着いた空間で英国風のティータイムを楽しむことができるカフェ・レストランや屋外デッキもあります。晴れた休日の午後、世界に夢を馳せた留学生たちの精神に触れて、もう一度夢見る頃の自分に帰ってみませんか?
Information
薩摩藩英国留学生記念館
鹿児島県いちき串木野市羽島4930番地
TEL: 0996−35−1865
開館時間:10:00~17:00 休館日:火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日)
駐車場:有