昔から本格焼酎に慣れ親しんできた九州・沖縄地方では、焼酎の味や香りを追求するだけではなく、より美味しく味わえるような「酒器」を作り出すことにも力を注いできました。歴史と伝統で培われた酒器は、本格焼酎や泡盛の特性を引き出すのに一役買っています。今回の蔵だよりは、皆さんが普段飲まれている本格焼酎や泡盛をさらに愉しく飲むための「酒器」について一部ご紹介いたします。
【千代香(ちょか)】
鹿児島県の方言で、注ぎ口の付いた陶磁器の土瓶のことです。現在は、焼酎を温めるために用いられることが多いようです。直火で燗をすることを前提に作られていて、中でも、急須を平たくしたような形状をしているものが、「黒千代香」です。「くろぢょか」と読み、遠赤外線効果で焼酎と水がうまく馴染んで、角がとれたまろやかな味わいになり、おちょこでちびちびと飲みます。
【カラカラ】
ユニークな名称の酒器ですが、語源にはいくつかの説があります。「泡盛が残っているかを確認するために器を振るとカラカラと音がするから。器の中に陶器の玉が入っていて音がなるというが、古いカラカラにはそのようなかけらは無いことが多い。」という説と、「酒好きな坊さんが丸餅にヒントを得て絶対に倒れない徳利をつくったところ、“貸せ貸せ”(沖縄方言で「カラカラ」)と評判になった。」という説です。通常は、泡盛用として使われることが多いようです。
【薩摩切子】
薩摩藩が、幕末から明治初頭にかけて生産したガラス細工・カットグラス(切子)です。「切子」と名の付く中でも重厚感があるのが特徴だといわれています。氷を入れると、グラスの中で響く音が美しく、ひと味違う本格焼酎を愉しむことができます。
【焼酎サーバー】
焼酎サーバーとは、焼酎を入れて寝かせておくことにより熟成を促し、蛇口をひねるだけで飲むことができます。陶器の内側にある孔によって焼酎が呼吸を繰り返す中で、割水とアルコール分が馴染み、口当たりの良い味わいへと変化していきます。これは陶器の中で発生している遠赤外線と自然対流によるものです。普段から焼酎を水割りで楽しんでいる方は、サーバーに入れる前にあらかじめ焼酎と水をお好みの割合で混ぜておくことで焼酎と水の分子が馴染み、美味しく仕上がります
いかがでしたでしょうか。本格焼酎や泡盛の愉しみ方のひとつに、飲み方の幅広いバリエーションが挙げられます。ストレート、ロック、お湯割り、水割り、燗酒(ぬるざけ)、炭酸割り、カクテルなど、他の酒類にはない飲み方が魅力です。それらに加えて、「酒器」にもこだわりをもつことで、いつもと違う「家飲み時間」を過ごすことができるかもしれません。
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是非ご覧ください。