43歳の時、鹿児島県の「農村婦人の海外研修」に参加。その研修でドイツの農家レストランを訪ねて、感銘を受けた農家のお母さん。自分で育てた野菜を直接、お客さんに提供できる素晴らしさを実感して「いつか自分もやってみたい」と考え始めました。帰国後、自家製野菜を使ったお総菜店をスタート。その店は地元の人たちの集会所のような場所になりました。店主の西園紀美子さんは、地元の人が気軽に立ち寄れる場所の必要性を感じて、夢だった農家レストラン開業を決心。「農家れすとらん七菜」が誕生しました。
本当に自分でできるだろうか? そんな紀美子さんが意を決したのは、鹿児島に伝わる「泣こかい、跳ぼかい、泣こよっかひっ跳べ」という行動力を示す言葉でした。元々は薩摩の子どもたちが、高い所から飛び降りるかどうか考えている時に、恐いと泣く前に思い切って飛んでしまえ! という教訓の言葉。転じて「見る前に飛べ=考える前に行動しろ」という鹿児島人の座右の銘になっています。こうして2010年10月、農家れすとらん七菜がオープン。七菜は1時間食べ放題で大人900円(税込)のバイキング方式。紀美子さんと一緒に妹の奈々子さん、長男の妻真由美さんが調理場に立っています。3人が作る料理は毎日約30種類。ほとんどすべての料理に、朝採れたばかりの新鮮な自家製野菜が使われています。
農家れすとらん七菜に欠かせない味が、西園家に代々受け継がれてきた手作りの麦味噌や、自家製の米、自家製の小麦粉です。その日のメニューは、仲良し姉妹と娘がその日に採れた野菜を見て決めます。この日はトイモガラの酢の物や、大根と鶏の煮物、里芋と厚揚げの煮物、ピーマンとから芋の天ぷら、キミちゃん自慢のガネさんなどのメニューが並び、ほとんどすべての料理に自家製野菜が使われています。12時を過ぎるとお客さんで一杯になり、時には畑で収穫していた材料担当の夫・一幸さんも店の手伝いをします。
写真左/採れたての自家製こしひかりの新米、さつま芋を混ぜた一分づきの玄米、特製カレー、お味噌汁が並ぶコーナー。火・木限定の特製野菜カレーは、すぐになくなってしまう大人気メニューです。写真右/実はデザートコーナーだってバイキング。今日は、からいももち、さつまいもケーキ、ふかしイモ、黒ごま豆乳プリン、ミルクゼリーというラインナップ。
写真左/オープンキッチンのカウンターと3つのテーブル席は、11時のオープンと同時に近隣や遠くからも健康志向で食いしん坊のお客さんたちが集まって来ます。写真右/入口のサラダコーナーには、6種類の生野菜や、ポテトサラダとスパゲティサラダ、2種類の自家製梅干し、胡麻と梅、2種類のドレッシングが並んでいます。お茶は自家製の杜仲茶とレモングラス茶が用意されています。
「安心安全の食材を提供したい。旬の食材を提供したい。お米、そば、小麦粉、そしてたくさんの種類の野菜をおいしく食べてもらいたい」。そんな夫・一幸さんの意志を受けてキッチンに立つ仲良し家族。ここでご飯を頂くと、自分も西園一家の幸せな一員になれたような気がします。健康の基本は、その場所で、その季節に採れたものを美味しく食べること。そんないちばん大切なことを教えてくれる場所が、農家れすとらん七菜。土曜日・日曜日も営業していますから、今度の晴れた休日に、美味しい旬を食べに行きませんか!
Information
農家れすとらん七菜
鹿児島県吹上町中之里2938-1
TEL:090-9594-0491
営業時間:11:00~15:00(14:00までに入店)
定休日:水曜日
駐車場:有