短歌のような歌を読み上げて「はいっ!」。これは百人一首?カルタ?
大事なことはすべてこの中にある
子どもたちが熱中しているのは、『日新公いろは歌かるた』というもの。でもこれ、普通のカルタとはちょっと違うんです。このいろは歌は、関ヶ原の合戦で活躍した島津義弘の祖父・日新公こと島津忠良が5年余りの歳月をかけて完成させた47首の歌。その内容とは一体…?
では「い」の歌を読んでみましょう。「いにしへの道を聞きても唱へても わが行に せずばかひなし」。これは「昔の賢者の立派な教えや学問を口に唱えるだけでは役に立たない。実践・実行することが最も大事である」という意味。これは歌というより道徳の教科書に出てきそうな言葉ですが…
そうなんです!このいろは歌は、薩摩藩の郷中教育の基本精神、そして薩摩藩士の指導教育の経典となった歌なんです。あの西郷隆盛も幼少時にこの歌を学んでいたそうですよ。では日新公は、なぜこのような歌を詠んだんでしょう?日新公は薩摩を統一し、島津氏が戦国大名の第一歩を踏み出すきっかけとなった人物。
文武と神・儒・仏教を極め、善政をひいた「薩摩の聖君」と呼ばれた日新公は、この歌で武将としての心構えや一族の団結を訴えたんです。日新公は加世田城主(現南さつま市加世田)だったため、今でも南さつま市では小学生のカルタ大会が開催されています。現代にも通じる示唆に富んだ日新公の教えを、子どもたちは遊びながら学んでいるんですね。
Information
日新公いろは歌かるた制作:
公益社団法人 南さつま青年会議所
鹿児島県南さつま市加世田本町23-7
南さつま商工会議所 2F
TEL:(0993)52-0566
月・水・金 10:00~16:00
URL:http://www.synapse.ne.jp/kaseda-jc/index.html