この石造りの立派な建物は、国の重要文化財『旧集成館機械工場』。日本で最も古い洋風工場で、現在は『尚古集成館』という博物館になっています。ここは、幕末期に西洋の最先端技術を取り入れた超ハイテク工場だったそうなんですが、一体なぜ鹿児島にこんな工場が?
海洋国家・薩摩の歴史
その謎を解く鍵を握るのが薩摩藩主・島津斉彬公。幕末期、西欧による植民地化が進む中で国を守るために軍事・産業を育成する「富国強兵」を推し進めた人物です。この工場は斉彬公の死後、島津忠義公が斉彬公の遺志を継いで竣工させたんですよ。それにしても、幕末という乱世において海外に目を向けていた斉彬公ってすごい!
そもそもなぜ斉彬公がグローバルな視野を持っていたのか。その答えは、尚古集成館にあります。現在、尚古集成館は島津家の歴史文化や集成館事業を語り継ぐ博物館として開放されています。展示パネルを見てみると、薩摩はどうやら昔から海外との交流が盛んな『海洋国家』だったことが判明!
鹿児島は港に最適な地形でした。海流に乗って昔から頻繁に西洋人が訪れていたため、海外の情報も真っ先にもたらされる所でもあったんです。だから斉彬公は、高品質の物を造れば外国が買ってくれるということを知っていたんですね。ちなみに江戸は海が遠浅なので、大型船の寄港には不向きなのだそう。
斉彬公がそんな『質の良いもの』として造らせたものの一つが薩摩切子。ボカシと言われる技法を取り入れた繊細なカットは、世界でも絶賛されたんですって!薩摩切子は一時製造が途絶えていたのですが、製法を研究し、現在は復元されています。ため息が出るほど美しい!
土地柄もあって古くから国際感覚が養われていた薩摩。だからこそ、時代の先を行く最先端技術を取り入れることができたんですね!尚古集成館には、当時の機械や文書に加え、薩摩の文化を知ることのできる貴重な資料などが多数展示されています。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょう?
Information
尚古集成館
鹿児島県鹿児島市吉野町9698-1
TEL:099-247-1511
営業時間: 8:30~17:30
定休日:年中無休
URL:http://www.shuseikan.jp/
駐車場:有