鹿児島出身者で知名度・人気共にナンバーワンの人物といえばやはりこの人、西郷隆盛でしょう。そして忘れてはいけないのが、西郷隆盛と共に明治維新の立役者となった大久保利通。今回は、そんな二人の活躍を綴った『翔ぶが如く』という小説についてのお話です。
生涯変わらぬ『腹心の友』
『翔ぶが如く』は、かの有名な司馬遼太郎の長編小説。文庫本は全10巻!彼の作品の中で最も長い小説です。舞台は明治元年から明治10年までの10年間。二人の友情と対立をベースに征韓論から西南戦争に至るまでの経緯を描いています。
明治という新しい時代が幕を開けたものの、新政府が行った廃藩置県や廃刀令などは、武士のプライドを深く傷つけるものばかり。そんな中、西郷隆盛を中心に「征韓論」が唱えられ、日本国内においてこれが沸騰し、これに反対した大久保利通は対立し、明治6年の政変にて西郷隆盛を失脚させてしまいました。
新政府と対立する西郷隆盛は、本人の意志に関わらず新政府に不満を持つ旧士族たちにとって希望の星のような存在になってしまったのです。そして遂に国内最後の内戦、西南戦争が勃発し、最終的には西郷隆盛が自害して戦争終結となります。
二人は近所で生まれ育った親友同士。征韓論をめぐって対立しても、生涯その関係は変わらなかったといいます。意見は違っても志は同じだったのでしょう。鹿児島市には銅像や生家跡などがあります。『翔ぶが如く』片手に二人ゆかりの地を巡って、切なくも美しい二人の友情に想いを馳せてみては?