鹿児島弁は標準語はおろか隣県の方言ともアクセントや言語が全く違うので、よく「何を言っているのかわからない」と言われます。そのルーツは江戸時代、外様大名だった島津家が幕府から機密情報を守るためにつくった人工言語という説が有力です。今回はそんな解読不能といわれる鹿児島弁のお話をしたいと思います。
世界をも惑わせた独自の言語、鹿児島弁
道路看板に『こけけ王国』とあります。「こけけ」というのは鹿児島弁で、「ここにおいで」という意味なんですよ。確かにまったく意味がわかりませんよね。でも鹿児島にはまだまだそんな言葉があります。相づちに使う「んだもしたん」は「あらまぁ」という意味。さらに「あすっが」は、「遊ぶ」の意味で「はんもあしたいっしょにあすっが」などと使います。大分分からないですよね?
この判読困難ぶりを買われて第二次世界大戦末期に、鹿児島弁が暗号として使われたこともあるんです。それまで使っていた暗号電報が混乱して信用できなくなった日本は、外務省と在独大使館の担当者が共に鹿児島出身であることを利用し、国際電話で堂々と早口の鹿児島弁を話させたのです。通話を傍受していた連合軍もこれにはお手上げだったのだそう。
そのルーツや先の大戦で暗号に使用された経緯を考えると、鹿児島弁が解読困難なのも納得ですよね! もちろんお酒の席で使われる鹿児島弁もあります。乾杯の前は「おやっとさぁ(お疲れ様)」と労い、そして仲間たちと焼酎片手に楽しいひとときを過ごしたら、「よか晩なぁ(いい夜だね)」と言い合えば、1日を気持ち良く締めくくれますよ。