こちらは、観光スポットとして有名な『仙巌園』にある大砲のレプリカです。この大砲は、150ポンド(約70kg)の砲弾を約3000m飛ばせるんですよ。さらに後ろには、鉄製砲を鋳造するために必要な溶解炉・反射炉の跡も見えます。『仙巌園』は江戸時代初期に島津家の別邸として築造され、以後350年以上に渡り代々の当主に受け継がれています。今回は島津家の歴史を今に伝える『仙巌園』をご紹介します。
世界の名だたる偉人も訪れた『仙巌園』。
この朱色の門は『錫門(すずもん)』といって、江戸時代の正門。その名の通り、錫製の屋根瓦が特徴です。現在も錫器は鹿児島の特産品なんですよ。当時は藩主とお世継ぎのみここを通ることができ、奥方やお世継ぎ以外の子ども、家来は別の門を使っていました。もちろん現在は女性も子どもも堂々と門をくぐれます。ちなみに、園内には明治時代の増改築の際に作られた正門も残っています。
奥に見えるのが御殿です。廃藩置県によって、本邸の鶴丸城が政府の管理下に置かれたあと、島津氏はここを本邸としました。四季折々の花が咲き乱れる広大な敷地や桜島を一望できる借景、中国文化の影響を受けたデザインなど、随所から島津家の栄華を伺えます。樹齢300年以上の大きな松は、絶滅危惧種に指定されている屋久種子五葉松。高さ約30m、根回り5mと、現存する五葉松では県内最大なんですよ。
『仙巌園』では、大河ドラマ『篤姫』のロケも行われました。ロケ地となった場所のひとつがこの階段です。階段の真ん中だけ、石が積まれているのがわかりますか? 着物を着た女性が階段を上り降りしやすいように石を積んであるのだそうです。当時の日本では男尊女卑の考え方が主流だったはず。そんな時代に女性の使い勝手を考えてくれていたなんて、奥方たちもさぞかし喜んだことでしょう。
御殿の奥にあるのは、曲水の宴をするための『曲水の庭』。曲水の宴は、曲がりくねった水路に杯を流し、それが自分の元に辿り着くまでに和歌を詠むという宴です。この水路は現存する曲水の庭の中では国内最大規模なんです。かつては勝海舟やグラバー、ニコライ2世など名だたる偉人たちも訪れた『仙巌園』。美しい庭園を散策しながら島津家当主の暮らしぶりを体感してみてはいかがでしょうか。
Information
仙巌園(せんがんえん)
鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1
TEL:099-247-1551
入園時間:8:30~17:30
定休日:無
駐車場:有(乗用車/1日300円)