静岡県に次いで日本第2位の緑茶の生産地は、何県でしょうか? 正解は、ずばり鹿児島県なんです。中でも知覧茶は全国茶品評会で連続日本一を受賞し、献上茶に選ばれるなど、品質については折り紙つきです。茶畑に施肥防除管理システムを導入して、環境に優しいクリーンな茶づくりに努め、安心・安全な茶づくりに専念しています。でも、いちばんの人気の秘密は一度飲んだら忘れられない味の佳さと、美しいグリーン。本格的なシーズンを迎えた知覧に、美しい茶畑の緑を訪ねました。
安全と安心を、笑顔を生む美味しさへ。
知覧では、その昔、平家の落人が北部山間地の手蓑で、茶栽培を始めたという古い言い伝えが残っています。でも、本格的な栽培が始まるのは、明治になってから。元々、稲作に向いていなかった知覧地区は、朝陽が差し込む温暖な山間地で、代表的なお茶の産地静岡に気候が似ていると考えた先人たちが明治5年に山野を開墾。茶の実を植えたのが始まりです。現在、ほぼ連年で全国茶品評会の煎茶の部において、産地賞と農林水産大臣賞を獲得し、知覧茶の名声は全国区となりました。
写真左/知覧で使われているお茶の品種のメインは「ゆたかみどり」。そこに、天然玉露と呼ばれるほどの味を持つ「あさつゆ」をブレンドして、味、香り、色ともに素晴らしい知覧茶ができ上がります。写真右/お茶畑に被覆するベテランの茶娘たち。被覆することで知覧ならではの美しいグリーンを引き出し、理想的な深蒸し茶の原料になります。一面のお茶畑のグリーンが黒く塗られていく姿は圧巻。
写真左/全国でも評価が高い知覧茶の高品質を支えているのは、高い品質管理です。被覆された茶畑の根元にはスプリンクラーが設置され、徹底した品質管理を実施しています。写真右/知覧グリーン製造販売元の代表、西垂水さん。「どんなに機械化され、品質が安定しても、お茶の善し悪しを決定するのは人間の手。最終的な蒸しの善し悪しを決定するのは、人間の手の感触なんです」。だから今でも、最後の蒸しの具合を決めるのは西垂水さんと工場長の2人だけに限られます。
その昔、お茶は不老長寿の薬でした。長い歴史を越え、緑茶が飲みつがれてきたのは、その素晴らしい保健成分だけでなく、心も身体も、ゆったりと寛ぐ豊かな時間を運んでくれる飲み物だからかもしれません。「急須でゆっくりとお茶を淹れる。好みの割りものや氷を用意して、自分好みの焼酎をつくる。お茶や焼酎のような嗜好品は、生活に穏やかなゆとりがあるからこそ楽しめるものだと思います。いつまでもお茶や焼酎を楽しめる、静かで平和な時間を大切にしたいですね」と西垂水さん。自宅ではもっぱら焼酎の割りものには、ティーパックの緑茶派ですと満面の笑み…。これから秋まで、お茶農家のいちばん忙しい季節が続きます。
Information
西垂水茶業有限会社
鹿児島市南九州市知覧町西元12613
TEL:0993-85-3962