雄大な自然と音楽が響き合う、世界でも珍しい国立公園の中の音楽祭として、1975年にスタートした霧島国際音楽祭は、その高い芸術性に対して世界中で高い評価と名声を得ています。薩摩金山蔵では、音楽祭発足の頃から、第一線でご活躍されている出演者を招いてクラシック音楽を鑑賞する薩摩金山蔵コンサートを開催。霧島国際音楽祭の記念講演として、毎年多くの方々に世界を魅了するプロの演奏を間近に体験する機会を設けています。
金山蔵が音楽の歓びに包まれた夜。
7月17日金曜日の夜、金山蔵で演奏して頂いたのは、ヴァイオリンの神谷美穂さんと、ピアノの上之段佑佳さん。2人が奏でる『愛と情熱のヴァイオリン名曲コンサート』が始まる前に、今回は素敵なプロローグが用意されていました。歌うことが大好きな16名の子どもたち、照島小学校音楽部の飛び入り出演です。出演者のお一人、上之段佑佳さんのピアノ伴奏で、元気に2曲を披露。NHK学校音楽コンクールにも出場する実力に、コンサートの主役・神谷さんも舞台袖から熱いエールを送っていました。
こころ震える演奏会
国際的なコンクールで数々の受賞歴を持ち、現在はフランスのシャンブル・フィルの主要メンバー、仙台フィルのコンサートマスターとして、日仏を中心に演奏活動を続ける神谷美穂さん。霧島国際音楽祭の奨学生として学び、みやまコンセール(霧島国際音楽ホール)協力演奏家でもある上之段佑佳さんのデュオによるコンサートは、途中、神谷さんの無伴奏ソロでバッハの『シャコンヌ』を挟みながら、全6曲のプログラム。ヴァイオリンの持つ多彩な音色の素晴らしさ、そのすべてを体験できる圧倒的な名演でした。
プロローグで歌を披露した子どもたちには、最前列での鑑賞というプレゼント。みんなの歌を受けて「私もヴァイオリンは歌うように弾きたいと思います。とてもいい刺激を貰いました」という神谷さんのMCで始まったコンサートは、エルガーやクライスラーの有名曲、バッハの教会ソナタ、エキゾチックなルーマニア民族舞曲、モンティの『チャルダーシュ』と続き、世界三大名器のひとつニコラ・アマティ(1678年製造)を自在に弾きこなす神谷さんの演奏力に、いつまでも金山蔵を満員にした観衆の拍手が鳴り止みませんでした。
えがお溢れる食事会
アンコールは、ヴァイオリンの高音で鳥のさえずる声を再現する『ひばり』を含む2曲。その後は、今日の主役たちを囲んで楽しい食事会が開かれました。乾杯のワイングラスに満たされたのは、蔵の名前が付けられた「薩摩焼酎金山蔵」。いちき串木野市から始まって鹿児島県全土に浸透しつつある「焼酎で乾杯!」の掛け声と共に、世界のプロたちと食卓を囲む掛け替えのない宴が続きました。演奏中とは違う素顔を見せる2人のアーティストたち、本格焼酎と季節を彩る食材。コンサートのタイトル通り、深い愛に包まれた夜になりました。
今から150年前、若き薩摩の志士たちが国禁を冒してイギリスへ旅立った「薩摩スチューデント」ゆかりの町・羽島がある、いちき串木野市。その地に立つ金山蔵で演奏した2人も、音楽を学ぶためにヨーロッパに旅立った現在の薩摩スチューデントなのかもしれません。かつて我が国のゴールドラッシュの中心だった金山の坑道を活かした焼酎蔵のある薩摩金山蔵。鹿児島を代表する特産品である本格焼酎をお届けするばかりでなく、広く先達から引き継いだ文化を継承し、次の世代に手渡して行く場所として、今後も様々な企画を検討しています。
出演者プロフィール/左:神谷未穂(ヴァイオリン)。フランスと日本を中心に演奏活動を行い、フランスのシャンブル・フィルの主要メンバーとしても活躍。ソリスト、室内楽奏者として活発な演奏活動を行う。右:上之段祐佳(ピアノ)。奨学生として第23回霧島国際音楽祭ダン・タイ・ソンクラス受講。鹿児島大学教育学部在学中に鹿児島大学学長賞、卒業時に稲盛賞受賞。 みやまコンセール協力演奏家。
Information
薩摩金山蔵
鹿児島県いちき串木野市野下13665
TEL:0996-21-2110
営業時間:10:00~17:00
定休日: 火曜日
駐車場:有
URL: https://www.hamadasyuzou.co.jp/kinzan/