- 黄麹による焼酎づくりを復活
- かつて鹿児島の焼酎は清酒用の麹である黄麹で仕込んでいました。しかし南九州の温暖な気候では、腐造のリスクが高いのが難点でした。やがて雑菌に強い黒麹や白麹が主流になり、黄麹は途絶えます。伝兵衛蔵では、この地の焼酎づくりの原点である黄麹を復活。杜氏の研ぎ澄まされた感性と技術で、伝統の味を現代に蘇らせました。
- 芋焼酎を格段においしくした二次仕込み
- 黒麹の導入と時を同じく始まったのが二次仕込みです。それまでは、水と麹と芋を一度に仕込んでいたものが、一次仕込みで一次もろみをつくり、二次仕込みで原料の芋を加えて発酵させる方法に変わりました。蒸しただけで甘くなるさつま芋を後から加える二次仕込みの開発により、芋焼酎の味は格段に向上したのです。
- 明治時代のスタンダード。伝統の甕仕込み
- 甕で仕込み、甕で熟成させる、明治から続く焼酎づくり。ずらりと並ぶ大甕には100年以上前のものも。これら年代も大きさも異なる甕の個性を杜氏はしっかり把握しているのです。丸い形状の甕内では対流が起こり、発酵中の温度ムラが少なくなります。また、甕貯蔵では陶器の遠赤外線効果でまろやかな味になるのも特徴です。
- 伝統の味わいを守るため木桶蒸留器を再現
- 江戸から明治時代にかけて主流であった蒸気吹き込み式の木桶蒸留器。熱やもろみの酸により木桶が劣化していくため、数年に一度は修理が必要という、とても手のかかる蒸留器です。伝兵衛蔵では、鹿児島県内でただひとりの木桶職人さんに大切にメンテナンスをしてもらい、伝統の薩摩本格焼酎の味わいを守り続けています。